Yahoo!コンテンツストアを考える2



※基本用語など
ブランド名10/1より「Vodafone」から「SoftBank」に変わります
Vodafone Live!「Vodafone」の時のWEBサービス総称
Yahoo!ケータイ「SoftBank」になってからのWEBサービス総称
Yahoo!モバイルYahoo!の携帯版。
Yahoo!コンテンツストアSoftBankがキャリアっぽいことをしているサービス。CPに有料サイトを提供させ、回収代行を行っている。現在は「Yahoo!モバイル」の中にある。
CPコンテンツプロバイダの略。着メロとか待受とか提供している会社。
文中では「Yahoo!」と「SoftBank」が同義に扱われることがあります。


昨年(2005年)の10月にアップしたYahoo!コンテンツストアを考えるの中で・・・・・


> そして妄想(完全な想像です。責任は負いません!)
>
> 携帯電話事業に参入したくてしたくて仕方ないソフトバンクが、一足飛びに携帯コンテンツポータルを始めてしまった訳です。
> 将来晴れて携帯電話事業に参入した暁には、ごっそりとユーザーを持ってゆくかも知れません。
> 「コンテンツストア利用者なら、今Yahooフォン(仮称:笑)に加入すれば通話料&コンテンツ半年無料!」とか・・・
>
> 携帯3キャリアも黙ってはいないでしょう。
> どんな反撃をするのかシミュレート。
>
> 調べてみたのですが、なんとYahooモバイルはEZwebの公式サイトに入っています!(笑)
> 今、Yahooモバイル内は、ユーザーをコンテンツストアに誘導する構成になってきているのに・・・。
> ある段階で、公式サイトから追い出されるのではないでしょうか?
> ※どんな口実で来るのかが楽しみです。なりふりかまわぬ直球か、はたまたお洒落なauらしい変化球か?
>
> i-modeは・・・アプリや着うたを、公式サイトからしかダウンロードできないように防衛するかも?
>
> Vodafoneは・・・・逆転の発想でYahooに売(略

「Vodafoneは・・・・逆転の発想でYahooに売(略」。
的中してしまいました。
まあ以前から、その可能性はあるとは言われていましたが。

さてそうなると、Yahoo!コンテンツストアとの関係って???となる訳です。

Yahoo!コンテンツストアは「Yahoo!コンテンツストアならi-mode・EZweb・Vodafoneのどれでも同じコンテンツが使えます。ナンバーポータビリティーでどのキャリアに移っても、今まで使っていたコンテンツが引き続き使えて便利だよ♪」という戦略でした。

つまりYahooが第三者の立場でi-mode・EZweb・Vodafoneを「公平・平等に」扱うことで成り立つ訳です。

そのYahooがVodafoneを引き継いでしまいました。
これがまず第一の問題。

つぎに第二の問題。
それは「キャリアとしての“Yahoo!ケータイ”」と、「“勝手キャリア”としての“Yahoo!コンテンツストア”」のバッティングです。
前者はCPやユーザーに様々な規制をかけることで、ユーザーを囲い込むビジネスモデルです。
後者はキャリアからの規制の間隙を縫って、ユーザーを囲い込むビジネスモデル。
この2者の整合性をどう取るのか。

これだけなら「Vodafoneを引き継いだキャリアとしてのSoftBank」内の問題ですが、もっと広げて「SoftBank」全体で捉えると、さらに問題が大きくなってきます。
すなわち「各CPを集め、回収代行を行う“Yahoo!コンテンツストア”」と「Yahoo自身が行っていて、ほとんどが無料の“Yahoo!モバイル”」との関係。
さらに、世界中のWEBサイトのポータル、つまり「本来のPC向け“Yahoo!”」との関係。

SoftBankは、これらをどうまとめるのでしょう??



しかし・・・普通に考えれば、これぐらいは誰にでも分かることです。
ましてや当事者のSoftBankならなおさら、です。
つまり「分かっていた上でVodafoneを買収した」訳です。

どんなストーリーが、背景にあったのでしょう?

ここから下は、れさくの完全推測、妄想の世界です。

・・・・・・・↓

・・・・↓

・・↓

SoftBankは、携帯キャリアになりたくてなりたくて仕方なかった。
そこへ不振のVodafoneを買ってくれないかという話を持ちかけられた。
SoftBankは大喜び。

しかし・・・そんな楽にはいきません。
SoftBankが携帯キャリアになりたくてなりたくてそれはもう喉から手が出るほど、というのは公然の事実でした。

となると、Vodafoneはどうするでしょう?
そう、足元を見て、高値を吹っかけてくるでしょう。

足元見られてボッタクられて買収させられるか。
結局買収を断念するか。
でもキャリアになれる千載一隅のチャンス!これを見送った日には、孫正義、悔しくて悔しくて夜モ眠レズ。

しかし、現実は違いました。

・・・・・・・↓

・・・・↓

・・↓

足元を見たVodafoneが高値を吹っかけてくる!
しかしSoftBankは余裕の表情。

「自分たち、もう携帯新規事業者として免許もらってますから・・・・別に無理してVodafone買うつもりないんですよ?」
「ナンバーポータビリティー始まったら“Yahoo!コンテンツストア”で3キャリアまるごと抱え込みますから・・・買い急ぐつもりありませんけど?」
「でもまあ、買ってあげてもいいけどぉ?」

・・・・・・・。

・・・・。

・・。

SoftBankの慎重で緻密な中長期的戦略。
・・・というのは、考えすぎでしょうか。



ボーダフォン、2008年3月31日にPDC端末の新規受付を終了へ

このニュースには驚きました。
Vodafone→SoftBankのニュースの中でも、個人的には一番驚いたニュースです。
何故なら・・・・・

むかしむかし。
J-PHONEがVodafoneに変わった時、それはちょうど携帯各社が本格的に3Gで戦い始めたタイミングでもありました。
もちろんVodafoneも3G端末を出しました。が・・・・・

使いづらい。凄く使いづらい。とても使いづらい。というかめっちゃくちゃ使いづらい。

それは端末の操作性であり、ブラウザの仕様であり、メールの仕様でした。
例えば操作してOKを押すだけでも・・・センターキーの「OKボタン」あるいはソフトキーの「OKボタン」あるいはソフトキーで「機能」を選んで、メニューに表示されている「OK」を選択することで動作する「OKボタン」。
文字を入力しようと思ったら、まずデフォルトで英数字が割り当てられている。(J-PHONE当時は「漢字ひらがな」でした)
決定・選択・入力において、ボタンの割り当てがバラバラ。それがまた機種によってバラバラ。

ブラウザの操作性などを見ると、つくづく「本当のWAP端末」なのだと感じました。

かつて、「本当のWAP端末=WAP1.0端末」を出して、同じように苦戦したキャリアがあります。
auです。
WAPの名誉のために書いておくと、WAPは決して悪くないのです。
むしろ携帯電話に最適化するという、技術重視の思想で作られた仕様です。
そして海外ではこれが主流です。
しかし日本では通用しませんでした。
良し悪しは別として「正しい設計思想だけど使いづらい端末」よりも「裏側の技術は知ったこっちゃないけど使いやすい端末」を、
日本のマーケットが選択したのは事実です。

このWAP1.0でauは大苦戦、使い勝手重視のJ-PHONEに打ちのめされました。
その辺りのお話はこのあたりに少々。

その後auは、使い勝手重視の「WAP2.0端末=事実上C-HTMLに屈した端末」に切り替えました。
それからはご存知の通り、今日までの怒涛の快進撃となる訳です。

そして、それと立場を入れ替えるように、J-PHONEは「本当のWAP端末」を重視するVodafoneとなりました。
その後はご存知の通り、使い勝手重視のauに打ちのめされてゆく訳です。
なんとも皮肉で奇妙な運命の2キャリアです。

話を元に戻します。

Vodafone3Gは混乱を極めます。
使い勝手の悪さに加えて、NOKIAが強いという海外事情に翻弄されます。
例えばNOKIA製のVodafone3G端末は、他の端末と違い、UserAgentに「Vodafone」の文字がありません。
特例や例外が入ってしまっているのです。

さらには位置情報の非対応。第三世代携帯として信じられませんでした。(少なくとも私は)
恐らく、外資のVodafoneは、日本の(J-PHONEの)位置情報システムを引き継ぐことを嫌ったのでしょう。
しかしVodafoneの位置情報システムを日本に展開するには時間が無い。
そこで位置情報が無いままでの3Gサービス開始となった・・・というのが、私の勝手な推測です。

この混乱と加入者減の中で、なんとVodafoneはPDC端末(第二世代端末)を「新機種」として出してきます。

他キャリアが第三世代で戦っている中、一見不思議な気がしますが、少し考えると理由が見えてきます。
「VodafoneのPDC端末(第二世代端末)」は、イコール「J-PHONE仕様の端末」です。
だからJ-PHONE当時の、あの快適な操作性がよみがえる。位置情報も取れる。

これでユーザーの流出を食い止めて時間を稼ぎ、その間にVodafone3Gの操作性を向上させる。
いわば、Vodafoneが健康体になるまでの「カンフル剤」だったのではと推測します。
※ドコモがFOMAとMOVAを並行して出した理由も、同様ではないかと思います

事実その後、Vodafone3Gは、位置情報に対応しました。
端末の操作性も、かなり良くなりました。
今ではauやFOMAと比べても遜色ありません。

しかし、遅すぎました。
2006年10月1日、VodafoneはSoftBankに変わります。



そのSoftBank
苦境のVodafoneをそのまま引継ぎました。しかも買収資金調達のために、相当な借り入れをしています。
これでユーザーの解約が増えたら大変です。
しかもVodafoneが不利といわれるナンバーポータビリティーが、ほぼ同時に始まります。
それでなくても会社変更のドタバタで、大なり小なり混乱が発生するでしょう。

なのにSoftBankは、この状況下で「カンフル剤」を捨てる決断をしました。
ボーダフォン、2008年3月31日にPDC端末の新規受付を終了へ

ここに私は、SoftBankの本気っぷりを感じます。
そして面白いと思います。

ADSLモデムばら撒きなどで反感を持っている人も多いようですが、私はSoftBank(孫正義)が嫌いではありません。
好き嫌いというよりは、まずその才能は素直に凄いと感じても良いと思います。

モデム無料ばら撒きなどの手法は、確かに強引だと思います。
しかしそれを多くの人が喜んで持ち帰り、決定的なシェアを獲得したのは事実です。

先に挙げたVodafone買収劇での巧みな交渉術(想像図)。

ITベンチャーの球団買収争奪戦で、絶妙なタイミングで一番美味しいところを持ってゆく才能。

ヒルズ族としての栄華を極めたと思いきや、ブランド崩壊の直前にヒルズを脱出する嗅覚。
アンタ実は風水使いじゃないの?「はいやッ!巽の方角GO!汐留」

アンチSoftBankに走るよりも、「仕事として結果を出している」という事実を評価して勉強しても、バチは当たらないと思います。

もちろん不安な点もあります。

例えば新しいSoftBank端末には[Y!ボタン」が付きます。これを押すだけで、「Yahoo関連のサービス」にアクセスできるとのことですが、それが何なのかが読めません。
「Yahoo!モバイル」なのか?その場合キャリアのポータルを軽視することになってCPの関係が悪化しないか?
あるいは「Yahoo!モバイル・Yahoo!コンテンツストア・キャリアのポータル」の全てにアクセスできるのか?その場合、奇妙な競合が起きるのは明白です。

また、VodafoneからSoftBankへのブランド名変更ですが、ほとんどが「SoftBank」を由来としたネーミングになっています。
ボーダフォン携帯電話ソフトバンク携帯電話
ボーダフォンショップソフトバンクショップ
VアプリS!アプリ
Vodafone live! NAVIS! GPSナビ
SMS以外のメールサービスの総称S!メール


しかし、問題のコンテンツに関わるネーミングは
Vodafone Live!Yahoo!ケータイ
となっています。
この辺りに、少々迷いがある気配を感じます。

ともあれ、SoftBankが「VodafoneとYahoo」をどう扱うのかが楽しみです。
同時に、ドコモやau、ウィルコムに与えるインパクトも、楽しみです。



脱線コーナー

[1]違う視点でややこしいのは、「なんとYahooモバイルはEZwebの公式サイトに入っています!」の部分。
つまり、auにとっては、競合キャリアの準ポータルサイトが「EZの公式サイト」になってしまう訳です。

[2]URLを打ち間違えて偶然見つけたのですが、
「http://www.vodafone.jp/au/」
という奇妙なURLにアクセスすると、テキストで一言「test」と表示されます。
つまり存在するのです。
これはVodaを手に入れたSoftBankの次のターゲットがauであることを(略
ここに書いたから、近いうちに消されるかも。

ページが?それとも私が?アハハハハハ・・・ハハ・・ハハ