auは2003年の純加入者数で、あのドコモを抜いてしまいました。 こと第三世代携帯だけで見れば、3キャリア中で圧倒的です。 着うたやムービーで楽しさをアピールしています。 インフォバーで「デザイン」という選択肢も、ユーザーに与えました。 機能よりデザイン重視、とKDDI自ら言ってますが、着うた&ムービー&BREW対応で「低スペック」ですか・・・ なんか“成績は1番でスポーツは2番”のヤツに「いやあオレって運動苦手なんだよね」って言われた気分だよコンチクショウ。ちなみにインフォバーはあの見かけに関わらず操作性が非常に良いです。 携帯電話単体での、WEB定額常時接続&メール放題も実現しました。 WINの通信速度2.4Mは、アプリのダウンロードをすると「何かの魔法」のような感覚さえ覚えます。 au、無敵です。 「迷い無し」 「一直線」 こんなフレーズがピッタリです。 しかしそんなauにも、悩んでいた時期があったのでは?とれさくは推測します。 悩みに悩みぬいた結果、今日の大爆発があると、個人的には確信しています。 そしてそれは、Dポの今後のヒントになったりしないかと、想像してしまう訳です。 これは誰からの情報でもなく、今までのau変遷を見ていて思った、個人的な感想です。 cdmaOneで下地を作っていたため、第三世代携帯にスムーズに移行できたau。 後からセコセコと第三世代対応して苦戦しているドコモやボーダよりは、「技術が優秀」「インフラが優秀」だと思います。 ここらへんのキーワードは、Dポに被るものがあります。 で、技術が優秀だったがために、au(当時はIDOとかDDIセルラーとかでしたが)がブチ当たった壁があります。 WEBへの対応です。 当時、ドコモはi-mode、J-PHONEはJ-SKY、auはEZwebという、インターネットサービスを行っていました。 i-modeやJ-SKYは、HTMLで書かれたサイトを見ることができました。 ※厳密にはi-modeはC-HTML、J-SKYはmmlですが、事実上HTML記述がOKということで・・・ フツーのHTMLなので、記述がカンタン。作ったサイトはPCでも見れるし、逆にPC向けのサイトでも、シンプルなら携帯で見ることができる訳です。 それに対し、EZwebは「HDML」という言語で書かれたサイトでないと、閲覧できませんでした。 フツーのHTMLで書かれたサイト(つまり、まあ殆ど全てのサイトと言っちゃっても良いでしょう)は見ることができなかったのです。 で、この「HDML」がまた奇妙奇天烈な言語でありまして・・・。 まず「カード」とか「デッキ」とかいう概念を理解する必要があります。 もうワケ分からなくなって「オレのターン!」とか叫びだすヤツ続出です。 で、言語自体も特殊です。EZwebのためだけの言語を勉強し、特殊なルールに従って記述しないといけません。 そしてようやくHDMLのページができても、それをアップするサーバーに、HDMLが理解できる設定をしてあげないといけません。 挙句、アップしたサイトをPCで見ようとしても、「HDMLファイルのダウンロード」になってしまって、普通には見られません。 とにかく、特殊なことだらけなんです。 なんでauはこんな不便なものを採用したのでしょう? 実はHDMLは、そもそも携帯電話のために開発された言語だからこそなのです。 HDMLは、携帯電話の小さいメモリーに最適化された仕組みになっています。 ページを進むにしても、無駄な通信をしないような仕組みになっています。(パケ代がかからない!) 携帯電話のどのボタンを押せばどんな動きをするか、という指定もできるようになっています。 携帯電話のWEBにおいては、「もっとも優秀な技術」なのです。 そう、「技術が優秀」。 では、市場にはどのように受け入れられたか・・・? 数年前のことを思い出して下さい。 電車の吊り広告や雑誌の広告で、いろいろな会社やサービスが宣伝されています。 で、その下に、ホームページへのURLが書かれています。 携帯用のURLも書かれています。 そしてそこには、i-modeとJ-SKYのマークだけが書かれています。 EZのマークなんか見たことありません。 まれにあってもEZだけ別のURLになっていて、それも「http://ez.***.com/***.hdml」とか、いかにも別のサーバー使って苦戦した跡が伺えたり・・・。 そんな記憶がありませんか? そうです。 先述の通り、HDMLはあまりに特殊だったため、普及しませんでした。 難しい上に、習得しても使えるのはEZweb用のサイトだけ・・・・。 それじゃあ誰も手を出しません。 私だって同じ勉強するなら、HTMLを選びます。 簡単な上に、携帯(i-mode・J-SKY)でもPCでも見られるサイトをいっぺんに作れてしまうんですから。 KDDIは悩みました。 「HDMLは優秀な技術なのに・・・」 「携帯電話向けには最適な技術なのに・・・」 「ユーザーのためにも良い技術のはずなのに・・・」 技術は優秀。でも市場(企業やユーザー)が受け入れなかったという事実。 ん?同じジレンマを抱えたキャリアが、他にもあったような・・・。 WEB接続サービスにおいて、キャリア独自の言語を採用した結果、一般に受け入れられなかった。 ん?同じ罠にハマったキャリアが、他にもあったような・・・。 いろんな広告に記載されている携帯向けURLには、いつも自分のキャリアは無く、他キャリアのマークばっかり。 ん?どこかのキャリアもそんな扱いをうけているような・・・。 似てますね、Dポと当時のau。 もうauは「やってらんねぇよ!」ってな感じで不貞腐れていたことでしょう。 その後、ケータイ3キャリアのサービス名を列挙する時に、 「i-mode、EZweb、J-SKY」だったのが「i-mode、J-SKY、EZweb」と書かれることが多くなってきました。 私の記憶が確かなら、auの加入者数が僅かながらJ-PHONEに抜かされたのも、この時期だったと思います。 そこでKDDIは決断したんでしょうね。 技術は優秀だけど市場が受け入れなかったというジレンマに悩みぬいた末、決心したんでしょう。 EZwebはHTMLに対応しました。 ※XHTMLとかWAP2.0とか厳密に言い出すと主旨がずれるのであえて割愛 HTMLに対応していない古い端末には、HTMLをHDMLにauのサーバーが変換してくれています。 逆にHDMLで書かれた古いサイトを新しい端末で見たときは、auのサーバーがHDMLをHTMLに変換してくれています。 でも、ユーザーの目には、そんなこと分かりません。 ユーザーが感じるのは、「EZwebが便利になったな」ということだけです。 「これってちょっと・・・」だった絵文字についても、オシャレな絵文字が大量追加されました。 「DDI系ってどうしてこうなんだろう・・・」だったCMやカタログも、垢抜けました。 オフィシャルサイトの「見せ方」は3キャリアで1番です。 その後はご存知の通り。着うた、ムービー、インフォバー、WIN・・・・ 悩んだ末の決意というのは、強いものです。 もう迷い無し、一直線です。 しかしここで、冷静に数字を見る必要があります。 2003年12月の純増数は、i-modeが190,900、ボーダが97,600に対して、EZwebが303,900の圧勝です。 しかし累計は、i-modeの40,334,900は分かるとしても、ボーダ12,771,200に対して、EZweb14,699,700。 HDMLの軛(くびき)が、いかに大きかったかが分かります。 参照:TCA つらつらと書いてきましたが、このauの歴史の中に、Dポ復活のヒントがあるような無いような。 そして、それが今から始めたとしても、どれだけ困難なのかも、ちょっと想像できてしまうワケです。 これをauからDポへのメッセージだと、私は勝手に受け取ります。 |