プロジェクトX”〜社会人たち



標高3776m。日本一の山、富士山。
富士山のエリア化は、使えるケータイの象徴として、とらえられた。

かつてここをDポのエリアにしようと試みた男達がいた。
台風直下の登山、見つからないロープ、そして重いだけのフル装備。

打ちのめされた男達は言った。
「いつか普通に登りたいね」

これは、誰にも不可能だと思われた富士山のDポエリア化を成し遂げた、オタク達のドラマである。
この番組を理解するにはスティール・ボール・ランに関する知識のインストールが推奨されます。
(オープニングスタート)
「プロジェクトX”」(←ささやき声)
『地上の○』スタート!」♪
♪風の中の○○○〜○○○○銀河〜(←JASRAC対策、奥義「空オケ」)



「あ、キミ今度富士山に登るからね。」
出社したれさくを待ち受けていた、上司(しかも他部署)の言葉だった。

人生の自動登録。慣れていた。

−大学時代−
「ゼミ幹事と登山幹事。まず登山幹事は誰がいいでしょうか?」教授の中で解は決まっているのに、彼はあえて選挙形式にする。
鬼教授が辺りを睨む。
「れさく君がいいと思います」「れさく君がいいと思います」「いいと思います」「いいと思います」「いいと思います」
決定。

−小学校時代−
教会で邪悪な牧師に呼び出される。
文革のような三角帽と燃えたぎるガソリンを湿らせた棍棒を渡される!
何の文脈もなくこんな目にあったら、一体どうするだろう?
いきなり扉が開かれ、牧師は笑顔で皆に呼びかける。
「はい、火の神の登場です」

プロジェクトは、動き出した。


社会人に足りないものは体力。
足に2キロの重りを付けて通う人がいた。
れさくも真似て足に3キロの重りを付けて生活した。
上司はいつしか自転車で街を疾走するようになった。
社長は日々散歩に勤しんだ。





妙な雰囲気の会社だぞ、それって(汗)





意外なことだが、れさくは社長の信頼が厚い。
いつも優秀な参謀として存在していた。

「キミいつも散歩してるでしょ?この辺にいい散歩コースない?」
「短時間で廻るなら○○、環境重視なら△△のコースが・・・」

−1週間後−

「なんか近くに史跡があるらしいけど見つからないんだよね、今度見つけてくれない?」
「あれですか、知ってます。地図作ります。」

−1週間後−

「会社からあの川まで散歩できるよね?」
「できます、実はこの前行ってきました。コースは・・・」
















れさくオマエどうでもいいヤツだと思われてるぞ。
















決行日の7月31日(土)が近づいてきた。

去年は登山日前日がこんな状態という最高のネタがあった。

















今年。









ネタの神様ありがとう!ネタだよね?ネタだよね?(涙)
















意外なことだが、れさくは各部署の上司達から期待されている人材だ。

A部長「いやー、もう絶対キミだ。」
れさく「は?」
B部長「でもまだ○○部の彼もいるからなぁ〜」
C部長「やっぱりれさく君だよ、みんな間違いないっていってるよ・・・・富士頂上一番乗りが。

ガビーン!

A部長「いやもうミンナで賭けやってるんですわ。」

ホゲーン!

いやそれよりも





皆さんも登るんじゃなかったの?何で賭ける側にいるの??(汗






この『フジ・ノボール・ラン』レースは2004年7月31日午後1時、この5合目『河口湖口登山道』をスタートし
ゴールを『10合目のご来光』とする 本社史上初の台風直下による富士登山レースである




ウォォォォォ「サンディエゴニューヨーク!」「サンディエゴニューヨーク!」
「河口湖口ご来光!」「河口湖口ご来光!」
語呂がわるーい!(ガビーン)
当日31日。猛烈な雨だ。絶好の富士山日和。
西新宿を出て富士山を目指すバスの窓を、滝のように雨が流れる。

ところで今回のスケジュールだが。

前回の経験↓
> そういえば6合目でも聞かれたっけ。
> 「何合目で泊まるんですか?」
> つまり
> 富士登山は小屋に泊まることが前提。

この痛みッ!確かに『覚えた』ッ!
同じ轍は踏むまい。
まして今回は会社主体の登山。企画自体も既存のツアーに参加する形式だ。社会人の面目躍如。

新宿からバスで5合目まで登り!
昼過ぎに5合目を出発し!
8合目で山小屋に泊まり!
日の出までに頂上へ上がり御来光を拝むッ!

もう余裕。前回と違って今回は全然ネタなんてなさそうです。

でもあるんだろうなあ。




ところで今回の装備だが。

前回の経験から

70リットル級のリュックサックも
氷点下に耐えられるシュラフも
銀マットも
登山用レインコートも
コンロも
コッヘルも
2日分の食料も
水2リットルも

全く役に立たないことを学んでいる。

というかむしろ持っていってはいけない。

同じ轍は踏むまい。
まして今回は小屋泊。食料も水も要りません。
(いやさすがに水は2リットルは欲しいところだが。しかし私は下山した時点で1リットル以上残っていた。やはりあまりいらないのか?)

なので必要最小限のものだけ用意しました。


DL-M10(Dポメガキャロ)
eggy(ドコモグッズ)
J-SH53(ボーダ)
K3001V(Dポ京ぽん)
P2102V(ドコモホーマ)
SO505i(ドコモPDC)
W11K(au)
手回し携帯充電器


「多すぎー!(ガビーン)」と思ったアナタは1合目からやり直し。



いよいよ5合目を出発する時間が来た。
ツアーなのでガイドが付く。

このガイド、今回我々を導いて翌日下山し、
その数時間後に別のツアーを連れて再登頂し、
さらに翌日別のツアーを頂上へ連れてゆくという。

まさにプロ。
「マウンテン・フジ」の名を与えよう。
ルックスもイケメンだ。

ガイドの説明が続く。
「・・・なお何かあったらケータイで連絡して下さい。私にも繋がりますし、緊急時には5合目にもかけて下さい。」

なんだよマウンテンフジ。
たくましい肉体に山焼けした精悍な顔。
登山のプロだと思ったのに。
登山の緊急時にケータイに頼るだと?
オマエそれでもプロか?

と思った瞬間、そんな思いを粉砕するセリフが続く。




「登山でケータイは非常に有効な手段です!」




うわっ・・・力強く良く通る声でそこまで言われちゃったら・・・そうなのかな?・・・そうなのかも・・・

でも繋がらないDL-M10とかK3001VとかDL-M10とかK3001Vとかを持ってる人は「緊急時」にどうなっちゃうんだろう?

まあ私はJ-SH53とP2102VとSO505iとW11Kを持ってるから良いのですが。
(れさく最低!)



ウワサには聞いていましたが、やはり富士山の渋滞は凄いです。
(SO505iで撮影。クリックでさらに倍になります。恐ろしい。)




そんな渋滞を見下ろすように、岩から岩を伝う影が!

ドッゴォォォーッ!

「ここでサンドマンが岩場を下って合流だあああああああ!」

サンドマン。(勝手に命名)
それは夏の湘南から飛び出してきたような、セクシーなお姉さんのことである。
ホントにそうなのだ。

ノースリーブのシャツ。
豹柄タンパン。
ビーチサンダル。

これが7合目の岩場を疾走しているのである。

もう登山をなめるなというセリフを吐く方が山をなめてる錯覚に陥る。





8合目の東洋館に到着。

(SO505iで撮影。クリックでさらに倍になります。)

こうしてフジ・ノボール・ランのファーストステージが終わった。
ここで今後の予定が言い渡される。
夕方6時就寝、4時間後の10時起床して出発。
・・・たぶん休まない方が休める。

ベットはいわゆる奴隷船方式というのは聞いていたが、やはりそうだった。
ただ、足が並行に2本並ばないとは思わなかった。
・・・たぶん休まない方が休める。


夜10時。8合目。セカンドステージ開始。
なお、この時点でアブドゥルがリタイヤしている。

渋滞はますます激しくなる。
このままでは御来光に間に合わないと判断したガイドが、登山道を登ることを諦めた。
迂回して下山道を登るのである。
下山道はその名のとおり下山しやすい道である。登るのはちょっと辛い。
それでも渋滞の登山道よりは早いという判断。
ジャイロの雑木林越えである。

また1名、高山病でリタイアした。
だんだん険しくなってくる。

暗闇の中を見上げると、明かりが点々と見える。山小屋だ。その遥か向こう、一番上に見える明かり。
「あれが頂上ですね?いや、ぬか喜びしたくないから、9合目という可能性も抑えておかないとですね。」
「8合5勺とかいうオチだったりして。ブフーッ!」
「どうなんですか?ガイドさん?」








「ああ、あれ8合目です。








・・・・・。








我々が泊まった東洋館は8合目でしたよね?
あれから1時間歩きましたよね?
ここも8合目ですね?
あの上に見える明かりも8合目ですか?
その一番先の、先に何も見えない明かりも8合目ですか?8合5勺でさえ無いんですね?

8合目帯域広すぎ!


精神的ショックで社長、部長、その他大勢リタイア。





雨は殆ど降らなくなってきた。
問題は風である。
最後の8合目の小屋を回った瞬間、それがピークに達した。

前回の富士登山よりも凄い風と言えば、少しはお分かり頂けるかもしれない。
こんな感じ。(eggyのASFファイル)

この小屋の手前の異様な渋滞の原因はこれだった。
皆、先へ進めないのである。

掴まっていないと飛ばされる。
さすがに私もヤバいと思った。

「うーん、これはもうダメかなあ・・・」今回の企画を立てた、リーダーの部長Bが弱音を吐く。
「さすがに危険だよなあ。」
部長からこの次に聞かれるのは、きっと「危険だから、今回はここで中止にしましょう」という、リーダーとしてのセリフだ。

だから私は準備していた。
「分かりました、残念ですけど中止ですね。」と即答する準備を。

部長は言った。










「オレもうダメだわ。小屋で待ってるからみんながんばってきて。」











へ?ええ?!ええと、はい行ってきます!(涙












12人いたメンバーは、既に4人にまで減っていた。
下山道の渋滞はさらにひどくなり、ガイドの判断でさらに別の下山道に移動して、そこを登ることになった。

須走口下山道を、である。
あの1歩で3メートル滑り降りられる、豪快な砂走りを楽しめる下山道である。

そこを登るのだ。

10センチ進むと30センチ滑り落ちる砂山を、黙々と進んだ。
暗闇の中吹きつける強風は呼吸さえ困難にさせ、
寒さで動かなくなる手は、切れたヘッドライトの電池交換さえ不可能にさせた。

眠い。猛烈に眠い。
今「寝ていいよ」と言われたら、この場で横になって熟睡できる。
吹き付ける嵐も、凍える寒さも、暖かさにさえ感じる錯覚がある。
これか。「寝るなー!今寝たら死んでしまうぞー!」ってヤツ。

そんなことを考えていると、だんだん楽しくなってきた。
SweetBoxが頭の中でオートリバースでかかっている。
なんかクイだかカイだかに乗ったチククが、泣きながら歩け歩けと言ってるシーンが被ってきた。

要するに夢の世界を歩いていたのだ。

後に、一緒に登頂成功したメンバーが語った。
「れさくさんって余裕でしたよね。淡々と登っていましたよね。」
いやそれは他に何もできなかっただけなんですけど。

断言します。
今回の富士は、あの前回より遥かに辛かった。






午前4時。登頂成功。
フジ・ノボール・ランはここでゴールを迎えた。
今回は台風とのタイミングが、ある意味最高だったのかもしれない。
台風のおかげで、見事な雲海が広がっている。

いよいよご来光です。
れさく、腰から鉄球、いやケータイを取り出したッ!
≡DL-M10≡AH-K3001V≡J-SH53≡P2102V≡SO505i≡W11K≡ドギャーン!

まずはeggyの動画。eggyなのでASFファイル。
ご来光ムービー
これの着ムービーは某所で関係者のみに公開。裏ツールで着信設ゲフゴフッ


SO505iで撮影。サイズは1280*960ピクセル。尋常じゃないです。クリックで拡大です。



W11Kで撮影。



P2102Vで撮影。

すみません、北関東の方から借りた端末で、サイズ拡大方法が分かりませんでした。なので小さい。


J-SH53で撮影。

・・・・芸術ですな。シャープ恐るべし。


AH-K3001V。

えっ?(汗)いや、うん、ああ。


DL-M10

・・・・。





−エピローグ− (♪『ヘッドライト・テールライト』)
♪ふふんふんふふん〜ふふんふんふふん〜(←JASRAC対策、奥義「テキスト鼻歌」)




(SO505iで撮影。クリックでさらに(略)





下山後しばらくして、上司がCDを作った。
あの日皆がそれぞれ撮影した写真を、一枚にまとめたのである。
撮影者別にフォルダにまとめられたそれは、撮影者によってはさらにサブフォルダに分けられている。枚数が多いからだ。
その構成は、撮影者の個性をよく表していた。

A氏撮影

風景と人物。
あの美しい風景と熱い友情は、生涯忘れないだろう。




B氏撮影

太陽と雲。
あの眩い輝きと壮大な雲海が、今でも目に浮かぶようだ。




れさく撮影

どんな富士山だよ!
















−完−




(「次週予告『地上の星』スタート!」♪)
プロジェクトX”シリーズからだんだんフェードアウトしてゆくK君。
ついに今回、一度も登場しなかった。

このままK君は消えてしまうのか?
そのとき男達が動き出します。

次週プロジェクトX”は「実は1週間先にKは富士登山していた。しかも1合目から徒歩で」。
プロジェクトX”シリーズ復帰に命を懸けたK君の、逆転の物語です。
広告費 協賛金はいつでも受け付けています。