これから携帯を持とうと思っているあなたへ
携帯を購入した方の多くが、「よく分からないけどなんとなく」携帯を購入したと語ります。
どうしてPHSではダメなのか聞いてみると、「よく分からないけどなんとなく」という答えが返ってきます。
私個人はPHSが好きですけれど、「絶対に携帯よりPHSだ!」と押し付ける気はありません。
ただこの、「よくわかんないけどなんとなく」というのが悲しいのです。
携帯とPHSの違いを良く知った上で、自分に一番良い方を持ってもらいたいと、私は思います。
1:そんなの興味ないよ
「もともとケータイやピッチに興味がある人はそうかも知れないけど、私はそんなに興味は無いから・・・。」
そうですね。確かに、「たかが電話機」です。
たかが電話機について、熱く語ったり、議論を戦わせるというのは、奇妙な話です。
では、「電話機」ではなく、「自分が使うモノ」という風にとらえてみるのはどうでしょうか?
自分が使うモノについて興味を持つことは大切です。
それは何も「自分が使うモノの仕組みを良く知っておきましょう」とか「使い方を詳しく知っていると便利」という意味ではありません。
どんなモノでも、それを売る人や会社は、それを良いようにしか宣伝しません。
そのモノをTVや雑誌が取り上げるときは、その会社の方針に基づいて取り上げられ、編集されます。
特集などに載るときは、その特集のテーマに沿ったものだけが取り上げられ、テーマに沿った解釈で掲載されるでしょう。
また、そのモノを友人が勧めてくる場合は、当然彼の価値観に基づいて、勧めてくる訳です。
私はそれが良いこととも、悪いこととも思いません。当たり前のことだと思います。
そのように自分を取り巻く情報の中で、自分でその情報を判断する。自分に必要な情報を選ぶ。
とても大切なことだと思います。
ひいては、自分を取り巻く生活や社会について関心を持ち、判断力を持つことでもあるのですから。
2:でもピッチってケータイより下でしょ?
PHSは、「簡易型携帯電話」という名前でサービスが始まりました。
「簡易型携帯電話」。
どう読んでも、携帯電話より下です。
事実、サービス開始当初は、「携帯電話よりも劣るかわりに値段が安い」という位置付けでした。
PHSで事足りる人はPHSを使い、それで足りない人は携帯電話を使う。
携帯電話とPHSは、それぞれ「すみわけ」していた訳です。
しかし、多くのPHS利用者はそんな状況に満足しませんでした。
「PHSも、今の長所を残したまま、ケータイと同じように使いたい!」と望んだのです。
そしてPHSの会社(主にDDIポケット)は、それに応えました。
エリアが広くなりました。
高速移動でも切れなくなりました。
特にDDIポケットは、従来の「ピッチ」のイメージで利用をためらう人のために、「ハイブリッド携帯」というブランドを確立しました。
昔からの長所である、データ通信やEメール機能は、ますます進化しています。
もちろん、だからといって「PHSは携帯電話を完全に超えた!」などと言うつもりはありません。
しかし、「もはやPHSは携帯電話より劣ることは無くなった」と断言することはできます。
3:でもピッチってつながらないんでしょ?
「PHSより携帯のほうが、エリアが広いんでしょ?」
日本列島中のエリア面積の合計するなら、その通りです。
(とはいえ、DDIポケットのエリアに限って言えばドコモのシティフォンのエリアを超えていますが。)
しかし、どれだけの方が、その全ての場所で携帯やPHSを使う必要があるでしょうか。
大都市・地方中核都市ではもはや、両者に違いはありません。
地下等で使えるという点では、むしろPHSの方がいいと思いますし、
携帯の電波の死角(部屋の奥とか)でPHSが使えることも多いですよ。
一方、小都市・山間部では、携帯のほうが使えることが多いです。
とはいえ、これらはあくまでも「傾向」に過ぎません。
大都市の地下で、PHSが使えずに携帯が使えることもあります。
たまたまPHSのアンテナはなかったからです。
携帯がまったく使えない山奥のスキー場で、PHSだけが使えたことがありました。
スキー場の建物にPHSのアンテナがあったからです。
つまり、「PHSと携帯のどっちが使えるか?」と考えるよりは、
「自分が良く使う場所で使えるのはどっちかな?」と考える方が正しいでしょう。
4:でもPHSは携帯よりも電波が弱いから、つながらないんでしょ?
ウソです。
「PHSは携帯よりも電波が弱い」のはホントですが、それが「つながらない」にはなりません。
実は、電波が強ければつながるというものではありません。
特に都市部ではそうです。あちこちにアンテナがあるので、電波同士が干渉します。
また、建物などによる電波の乱反射なども起きています。
このため、圏内にいるのに着信しなかったり、つながってもすぐ切れたりすることがあるのです。
PHSは電波が弱い分、あちこちにアンテナを設置しなければなりません。
その際には、これらの電波干渉や乱反射などを計算して、きめ細かいアンテナの設置をすることになります
一方携帯は、ビルのてっぺんから強力な電波を力づくで飛ばすだけ・・・・
さて、どちらが良くつながるでしょうか?
5:ピッチって移動中に使えないんでしょ?
ウソです。
私は中央高速をノンストップで走るバスの中で、何分もPHSで通話したことがあります。
この前は青梅街道を走る車の助手席で、30分近くPHSとノートパソコンでネットをやりました。
一度も切れませんでした。
それどころか、同じ車内でPHSが1通話する間に、携帯では何度も切れるというケースは珍しくありません。
もちろん電波状況によってはその逆もありうるでしょう。
しかし、先に挙げた「受信感度の問題」を考えると、むしろ携帯の方が・・・
PHSサービスが始まった頃は、「時速30キロ以上の移動中には使えません」とか、
「基地局をまたいだ移動をしてはいけない」という制約がありました。
このため、「PHSは移動中に使えない」というイメージが強くなったのでしょうね。
その後、この制約は無くなりました。
さらに「移動先の電波を先につかんで予約する」という機能がついたおかげで、高速移動でも切れなくなったのです。
6:ケータイはピッチと変わらないくらいに安くなったんでしょ?
ウソです。
正確には「昔に比べたら安くなった」のです。ここがポイント。
いろいろコースはありますが、基本的に同一区内1分間の通話料は携帯40円・PHS10円という感覚でとらえられます。
しかし今や、携帯もPHSも、料金コースは山のようにあります。
通話料が極端に安い代わりに、月基本料が極端に高いコースもあります。
その逆のコースもあります。
特定の相手にかける場合のみ、安くなるプランもあります。
その代わり、オプション料金がかかります。
無料通話分が含まれているコースは、それをどう使うかも考えなければなりません。
かける先がケータイなのか一般電話なのかによって、結果はさらに変わって来ます。
もちろん時間帯によっても異なります。
こうなると、一概にどっちが安いとは言えなくなってきます。
それでも平均的に見ると、PHSの方が安いです。しかし私はこれをPHSのメリットとは考えていません。
先に述べたような複雑な料金体系の中では、ある条件で得しても、別の条件では損していることになります。
そして、仮に得した場合でも、その金額は果たしてどの程度のものでしょうか。
一昔前の、マイライン競争を思い出します。
「他社より0.5円安い!」
ホントにその0.5円の差だけで、選びたいと思いますか?
その料金が、サービスの内容にふさわしいかどうかで選びたいと思いませんか?
これは携帯とPHSの、どちらを選ぶにしても言えることです。
7:ケータイの音質もピッチと同じくらい良くなったんでしょ?
ウソです。
正確には「昔に比べたら良くなった」のです。料金同様ここがポイント。
たしかに「PHS並に良くなった」と宣伝している携帯もありますが、
対応機種同士でないとダメだったり、通話先の携帯会社によって変わってきたりします。
そして何より、PHSと「同じくらい」良くなったとしても、PHSと「同じ」になることはありません。
しかし・・・私は「PHSは音質が良い!」と宣伝するのは好きではありません。
ISDNの高品質なデジタル回線を使ったPHSの音質が良いのは、当たり前だからです。
そしてなにより、携帯端末はつながらないと話になりません。
たとえ音質が良くても、圏外だったら何も聞こえませんよね。
携帯しか使えないような場所では、たとえ音質が悪くても、携帯を使うべきでしょう。
それにPHSの音質の良さは、サービスを始める時からISDN回線を使ったことによります。
この優位性を持って携帯の音質の悪さを非難するのは、なんだか気が引けます。
それに携帯の電波は、先に挙げた電波の干渉や乱反射のせいで、
しばしば切れたり、妙な雑音が入ったり、タイムラグ(相手の声が帰ってくるのに時間がかかる)が生じたりします。
それをISDNの音質で攻めるのは、ちょっと酷かも・・・(^^;;
8:でも今どきピッチなんて使っている人、私の周りにはいないよ?
「なるほど。ピッチもけっこう良いね。」
ここまで読んで、そう思った方も多いかもしれません。
しかし同時に、こういう声もよく聞こえてきそうです。
「だけど私の周りはみんなケータイだから・・・。」
「この歳でピッチは持てないでしょ!」
「社会人が070の番号を持つのはちょっと・・・。」
私は、これらの考えはとても自然なものだと思います。
なぜなら、携帯やPHSは、他人とのコミュニケーションのツールだからです。
自分とコミュニケーションを取る相手が何を使っているのか。
それを意識することはとても大切なことです。
そしてもし、PHSを持つことによってコミュニケーションが致命的に壊れてしまう環境なら、
無理をしてPHSを持つ理由は何もありません。
ぜひとも携帯を持つべきでしょう。
しかし同時に、今まで述べてきたPHSの長所をよく考えてください。
PHSの長所と自分のコミュニケーションを、バランスよく考えてください。
この便利なPHSを、本当に使うことができない環境でしょうか?
携帯やPHSは、他人とのコミュニケーションのツールです。
しかし同時にそれは、あなた自身の大切なツールなのです。
良いモノを持ちたいと思いませんか?
それでも携帯を持とうと思っているあなたへ
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