プロジェクトX”〜洗脳者たち



2001年夏、Dポは窮地に立っていた。
止まらない解約、親会社からの戦力外通告。そして外資への売却。
その窮地を救ったのは一人への洗脳だった。

これは、誰にも不可能だと思われたドコモとの逆転劇を成し遂げた、マニア達の物語である。

(「プロジェクトX”」(←ささやき声)・・・・オープニングスタート。♪風の中のすーばるー・・・・ )


ある日、妹からメールが入った。妹も、れさくによってDポに洗脳されてしまった経験を持つ。
さらに父親も、れさくによってドコPへの契約を阻止され、Dポユーザーになっている。
幸か不幸か、れさくの家族という宿命を背負った彼らに、Dポ以外の選択肢は、ない。
しかし妹からのメールに書かれていたのは、その常識を覆すものだった。

「弟が、Jフォンになります。写メールがしたいんだって・・・(涙)」

れさくは驚愕した。そして叱責した。
「弟の教育がなってないよ!!君がいながら、どうして阻止できなかったんだ!」
「だって私はアンタのようなマニアじゃないしお兄さま程の知識も説得力も持っていないし・・・。」

私が動くしかない。れさくは決心した。
プロジェクトは、動き出した。

弟は既に90%程Jフォンに傾いており、数日以内に契約する勢いだという。
時間がない。電話をする。
「やあ弟。Jフォンにするんだって?確かにJフォンのカメラは良いよね。キレイだよね。あの画像をやり取りしたら、面白いよね。
でも、やり取りするたびにパケット代が・・・え?パケットって何かって?(ニヤ)それはね・・・


中略


20分後


弟:「ふーん、なるほど。じゃあエッジにするよ。」



早ッッ!!Σ( ̄□ ̄;)

Dポになってくれるのはありがたいが、まだ理解不足の感がある。
知識不足につけ込んで洗脳するようなコトはしたくないし、それでは本当の「洗脳」になってしまう。
それに、中途半端な知識でDポを持つと、ちょっとした不満点が、一気に致命傷になりかねない。

さらなる洗脳が必要だ。
れさくは妥協しなかった。



れさくは実家に帰った。
1年以上帰らなかったのに、Dポのためなら帰郷するのか。

さて、弟へのさらなる洗脳説明が始まった。
まず、Jフォンのチラシを開く。いかにJフォンのメールが優れているかをPRする、他社との比較表である。

キャリア 月額使用料 送信料 受信料 最大送信
文字数
最大受信
文字数
画像添付 メロディ添付 メール
アドレス
J-PHONE 250円 8円 8円
(受信192字以下無料)
3000 3000 2
ドコモ 300円 4.2円(250字) 2.1円(250字) 250 250 × 1
au 200円 1.89円(250字) 2.7円(250字) 500 5000 1


れさく「おや?これでは何かが足りないようだね。よいしょっと。」
用意してきた紙を、隣りに貼り付けた。
同時に、他のキャリアの説明に、「補足」を書き込んだ。あくまでも「補足」である。

キャリア 月額使用料 送信料 受信料 最大送信
文字数
最大受信
文字数
画像添付 メロディ添付 メール
アドレス
DDIポケット 無料
当然!
30秒5〜10円
何通やり取りしても変わらないよ
30秒5〜10円
メール本数で割ると一番安くなるよ
1000 1万 1
J-PHONE 250円
取るの?!
8円 8円
(受信192字以下無料)
3000
端末でこれだけの文字を打つの?
3000 2(うち一つは電話番号@。
迷惑メールを考えると、これは意味無し。)
ドコモ 300円
取るの?!
4.2円(250字) 2.1円(250字) 250
論外
250
論外
× 1
au 200円
取るの?!
1.89円(250字) 2.7円(250字) 500 5000 1

追い打ちをかけるように、H"の料金表を開く。各種割引を組み合わせたときの安さをPR。
Jフォンのコストの高さ、通信速度、音質を説明。そしてH"のそれが、どれほど優れているか。
しかしまた同時に、友人の殆どがJフォンである場合、feelH"での画像のやり取りが極めて困難であることも伝える。
さらに、070への風当たりも・・・・
弟:「あ、それは全然気にならないよ。」

さすが私の弟だけのことはある!

こうしてプロジェクトは終了した。



(「そろそろまとめます。エンディングスタート!」♪『ヘッドライト・テールライト』)

今日も、携帯、ことiモードへの流れは、留まるところを知らない。
Dポもついに、外資への売却が決まってしまった。

しかし、れさくには、そんなことは関係なかった。
一人、また一人と、地道にDポへの勧誘を進めるだけである。
解約者数の大きな流れの前では、あまりに無力な、小さな数字だ。
だが、彼は気にしていない。
なぜなら、単純にDポが好きなだけなのだから・・・。


そんな彼の元に、Dポからメールが届いたことがある。
今回のプロジェクトの直後のことだった。
しかも直送メールである。

拝啓、平素はエッジ・ポケット電話をご利用いただきまして、誠に有り難うございます。

日ごろの洗脳活動が、Dポに認められた。
このメールは、その感謝状なのだ。
れさくはメールを開いた。

突然のメールで、恐縮ではありますが、今回のエッジ・ポケット電話料金の件でメールを送らせていただきました。
今回ご送付させていただきましたご利用料金のご案内をご確認のうえ、お引き落し日9月27日の前営業日9月26日までにご指定口座に準備の程をよろしくお願い致します。
ご指定口座よりのお引き落しができませんと、お引き落し日翌日より順次サービスを停止させていただく事になりますので、ご注意ください。・・・






経営の足引っぱってるジャン!!



(「次週予告入ります。『地上の星』スタート!」♪)
仕事の変動で収入が入ってくる銀行がコロコロ変わるれさく。一方、電話代引き落としの口座は変わらないまま。
このままでは口座引き落としの意味が無い。しかも振り込む時間も無い。

もっと簡単に振り込む方法は無いのか。
そうだ、このエッジで振り込みが出来たら・・・そう、iモードのように!

次週プロジェクトX”「マネーを電波に乗せて(後半)」は、モバイルバンキングの構築に命を懸けた、男達の物語をお送りします。

あのー・・・K君と公衆レピーターの話はどうなったんですか?