最近Dポが元気ないと思っているあなたへ





Dポが元気ないです。
東芝が事実上撤退し、残ったメーカーからも、音声端末の新機種のウワサがなかなか聞こえてきません。
一方他社ケータイは新機種、新機能のラッシュ・・・

そんな状況を毎日見せられては、H"ユーザーは心中穏やかじゃありませんね。
もちろん私だってそうです。
ネット上の各地の掲示板もカリカリした空気が・・・。

そんなときは、状況判断が必要かも。何がイライラさせているのか?あるいは正しい見方をしているか?などなど・・・。

なお、私は「理性的で冷静なかっちょいいユーザー」や「経営コンサルタント」を気取るつもりはありません。
好きなDポを今後も好きであり続け、遊び倒すためにはどうしたらよいか、楽しむために自問自答してみようと思うのです。


◆インテリジェントH"
feelH"の後に出てきたブランド名?の「インテリジェントH"」。
そもそもこれって何でしょうか。 文字通り捉えると、「インテリなH"」、「優秀なH"」、「偏差値の高いH"」といったところでしょうか。

優秀なインフラ、高速で安定した通信、クリアな音質。
AirH"によるモバイル定額常時接続。
高度なモバイルをするには、優秀なH"=インテリジェントH"を、という訳です。

これ自体は間違っていません。
確かにH"は優秀です。そして、モバイルに最適の通信端末だと、私も思います。

しかし、何か違和感を感じるのです。

「インテリジェント」という言葉には、他社の携帯よりも優秀で、偏差値が高いんだぞ・・・というメッセージが、裏ににじみ出ています。
カメラ内蔵やJAVAゲームのチャラチャラした携帯よりも、頭がいいんだぞ・・・というつぶやきが、後ろのほうから聞こえてきます。

カメラ内蔵やJAVAゲームの是非はさておき、これはこれで一つのPR戦略として、間違っていません。

問題は、「説得力があるか」です。

J80でH"が登場し、「クリアな音質」「切れない通話」「優秀な通信」のPRに成功しました。
そして、そのまま「インテリジェントH"」に走れば、説得力はあったでしょう。
世の中や市場に対して、「H"はこういうものだ!」と力強くPRできたでしょう。

しかし、H"の後に、「豪華な付加機能」をPRした「feelH"」が登場します。
結果、残念ながら、これらは他社携帯に敗北したと言わざるを得ません。
客観的な目で見て、トレバの画質が写メールの画質に勝っているとは思えませんし、コンテンツサービスの使い勝手(内容ではなく、使い勝手)が、iモード等のブラウザより良いとは、言えないでしょう。
※これでH"が劣ったと言うつもりはありません。「勝負に出たポイント(この場合、豪華な付加機能)」で負けたということです。
※「豪華な付加機能」を登載することに反対はしません。むしろ私はこれらの機能は欲しいです。


そこでどうするか?
トレバの性能を上げるか?ブラウザを登載するか?
しかし出てきたのは「インテリジェントH"」でした。

ここが、世の中や市場に対して、説得力を欠く点だと思うのです。


◆今、説得力があるか?
一方、データ通信は元気です。インフラは優秀です。
USB型端末やSDカード型端末まで出てきました。
凄いです。こんなに小さいなんて。
DDIポケットの優秀さを説明できる、一つの事例です。

しかし、私はこのUSB型端末を手にとって思いました。
「auの次世代携帯やムービー写メールよりも、これだよ!」と、胸を張って勧めることができない。

「それは極論だ」と言われるかもしれません。
「比較の対象が違う」と言われるかもしれません。
では、何を勧められるでしょうか。
「音声端末だってあるじゃないか」
その時点で、H"を勧めようとしている相手に対して、説得力を失ってしまうのです。
「音声端末『だって』あるじゃないか」という消去法では、私は人に端末を勧められません。

J70やJ80を友人に勧めたときと同じ情熱で、「他社の携帯よりこれだよ!」と、今のH"を勧められるでしょうか。
データ通信だけをしたいという人に対してなら、私はUSB型端末やSDカード型端末を勧めます。
しかしその場合でさえ、説得力を持ってそれをプッシュすることはできないのです。


◆市場を説得できるか?
あまりコンテンツを使わない私でさえ、今年の春頃から、コンテンツサービスが減り始めたことに気がつきました。
9月からは、DポHPに、こんなメッセージが載るようになりました。
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※掲載内容は2002年**月**日現在です。
※終了予定のコンテンツは掲載されていない場合があります。
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台湾S氏を紹介してくれた人によると、情報元が撤退してしまう時、大抵こう言うそうです。
「ポケットさんは、これからデータ通信に特化していくんですよね」
「これからはこういう形(手でカードを描きながら)の端末しか出さないんですよね」

私自身は、「データ通信に特化」ではなく「強化」だと理解していますが、1ユーザーの自分と違い、それ仕事にしているメーカーやコンテンツプロバイダにとっては、その違いはあまり関係ないでしょう。
「でも音質が」とか、「でもインフラが」と言ってみても、残念ながら、関係ないでしょう。

コンテンツプロバイダやメーカーがどんなにがんばっても、肝心のキャリアがこっちを見ていなければ、やる気が失せてしまうのは当然です。

もしそうでないならば、DDIポケットが、説得力ある行動でそれを示すしかないでしょう。


◆逆境?
ちょっと厳しいことを書いていますね。 Dポがこれだけ苦戦する原因も、もちろんあります。分かります。

・PHSへの偏見
・070への偏見
・そもそもの加入者の少なさ
・加入者の減少傾向
・物量戦で攻めてくる携帯に対する不利

しかし、です。
これらの事情は、昔もありました。
しかし、今ほどの危機感は感じませんでした。
feelH"で加入者が激減した時期でさえ、私は危機感を感じませんでした。

私はDポ社員でも株主でもありません。
1ユーザーとして、単純にH"で遊び、Dポで楽しんでいたからです。
加入者の増減は気になりませんでした。
成功失敗はともかく、Dポの姿勢には「説得力」があったからです。

今、非常に危機感を感じるのは、「加入者が減る」ことでもなく、「データ通信に特化」することでもありません。
Dポに「説得力」が欠けていることに、危機感を感じるのです。

長期的な計画や戦略を立てた上でDポが出した答えなら、説得力を持つでしょう。
ブラウザ登載やカメラ内蔵を求める声に、応えるにしろ応えないにしろ、その結果は説得力を持つでしょう。
データ通信を強化してもしなくても、その結果は説得力を持つでしょう。
それどころか、データ通信に完全特化してさえも、説得力を持つはずです。

今のデータ通信強化は、「それしか生き残る術が無い」という視線しか感じません。
また、仮にブラウザ搭載端末を出しても、カメラ内蔵端末を出しても、それは切羽詰って出した答えに過ぎないのではないでしょうか・・・?

feelH"で加入者が激減した時期でも、コンテンツは減りませんでした。
データ通信強化が始まって、むしろ加入者が増え始めてから、コンテンツは減り始めました。

ユーザーやメーカーやコンテンツプロバイダががんばっても、どうにもなりません。

キャリアのDDIポケットにしかできないことがあるはずです。


◆Dポ、素晴らしさいろいろ
「キャリアのDDIポケットにしかできないことがあるはず」と書いてみました。
では逆に、ユーザーにできることは何かを、考えてみたいと思います。

とはいえ、しょせんユーザーです。
カメラ内蔵が欲しいからと言って、端末を改造することはできません。できそうな人を若干名存じておりますが(汗)
エリアを拡大したいからと言って、CSを作ることなんてできやしません。できそうな人を若干名存じておりますが(汗)
値下げしたり、料金コースを新設したりもできませんね。

ユーザーにできることは、「正しく理解すること」だと思います。
そう、ケータイではなく、PHSを選んだ時のように・・・

ケータイにしろH"にしろ、機能というものには2種類あると思います。
「優秀さ」と「楽しさ」です。
音質の良さやインフラ、エリアは、「優秀さ」です。
内蔵カメラやブラウザは「楽しさ」の機能でしょう。

J80でH"が初めて世に現れた時、この「優秀さ」が徹底的にPRされました。
なぜなら、PHSの「劣った」イメージを覆すには、「楽しさ」ではなく「優秀さ」でなければならなかったからです。
H"は「優秀でなければならない」という宿命を背負っていたことを、理解してあげましょう。

すると、なんとなく答えが出てきます。

H"の全てに対して「優秀さ」を求めていませんか?

カラー液晶や和音機能が付いたとき、それを「楽しむ」のではなく、他社ケータイに対してどれだけ「優秀か」ばかり考えていませんでしたか?
ブラウザや内蔵カメラが無いことで、他社携帯よりも「優秀じゃない」と思っていませんか?
ブラウザや内蔵カメラは楽しむものです。
もしH"にブラウザや内蔵カメラがついたら、他社携帯より「優秀」になるのでしょうか?
その後で他社が、フレーム対応ブラウザや200万画素の内蔵カメラを出したら、今度はまたそっちが「優秀」になるのでしょうか?

ここを取り違えると、「H"は他社より優秀じゃない」と感じて、イライラするのでしょう。
これらの機能を「楽しさ」として理解していれば、「もっと楽しい端末を出して欲しい」と思うことはあっても、
「優秀じゃない」と感じて、イライラすることはないはずです。

こうやってひとつひとつ思考をまとめると、絶対の答えが出てきます。

H"は優秀だ、という答えです。

PHSが苦境に立たされたとき、DDIポケットは「PHSであること」を言い訳にする道を選びませんでした。
DDIポケットは、果敢に携帯電話の土俵に上がる道を選びました。

PHSの優秀なインフラを活用しつつ、PHSのマイナスのイメージを払拭したサービス「ハイブリッド携帯端末H"」を、
利用者に提供する道を選んだキャリアです。

間違いなくH"は優秀です。

その上で、「楽しめる付加機能」を求めていきましょう。